歯科治療における麻酔は、患者の痛みや不安を軽減し、安全で快適な治療を可能にするために重要です。
麻酔の種類や特徴を理解することで、より適切な治療選択が可能となります。
今回は、歯科治療で使用される主な5つの麻酔の種類と、その特徴を解説します。

①表面麻酔
- 歯茎の表面に塗布するジェル状の麻酔
- 注射による局所麻酔の前処置として使用
- 痛みの軽減効果は比較的穏やか
- 効果は表面的で持続時間も短い
- 子どもや注射が苦手な方に特に有効
②局所麻酔(浸潤麻酔)
- 最も一般的に使用される麻酔方法
- 注射により麻酔薬を直接投与
- 治療部位を限定して麻酔可能
- 効果は確実で持続時間も適度
- 複数回の注射が必要な場合もある
③伝達麻酔
- 神経の束(神経幹)を直接麻酔
- 広範囲の麻酔効果が得られる
- 効果の持続時間が長い
- 主に下顎の奥歯の治療で使用
- 技術を要する麻酔方法
④全身麻酔
- 意識のない状態で治療を行う
- 大がかりな手術時に使用
- 入院が必要な場合もある
- 慎重なリスク管理が必要
- 専門的な管理体制が必要
⑤笑気ガス(吸入鎮静)
- 亜酸化窒素を吸入して精神的な緊張を緩和
- 意識はある状態で治療可能
- リラックス効果が高い
- 恐怖心の強い方に有効
- 効果の調節が容易
続いて、麻酔の選び方に影響を与える要因は、以下の通りです。
治療内容による選択 | ・治療の種類と範囲・予想される治療時間・必要な麻酔の深度・治療の複雑さ・期待される痛みの程度 |
患者の身体状態による選択 | ・年齢・全身疾患の有無・服用中の薬・アレルギー歴・過去の麻酔経験 |
心理状態による選択 | ・歯科治療への不安や恐怖の程度・過去のトラウマの有無・痛みへの耐性・治療への協力度 |
ここからは、歯科医師が麻酔を使用する際に気をつけていることを紹介します。
事前確認 | ・食事制限の確認・服用中の薬の確認・アレルギー歴の確認・体調チェック |
麻酔中の注意 | ・バイタルサインのモニタリング・異常反応の観察・不快症状の確認・コミュニケーションの維持 |
麻酔後の注意 | ・麻酔の効果持続時間の確認・注意事項の説明・緊急時の連絡方法・日常生活での制限事項 |
このように、歯科治療における麻酔の選択は、さまざまな要因を考慮して慎重に行う必要があります。
患者さんの状態や治療内容に応じて、最適な麻酔方法を選択することで、安全で快適な治療が可能となるのです。
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