みなさんは「お歯黒」という言葉を聞いたことはありますか?
お歯黒は、江戸時代に結婚した女性が行なっていた「歯を黒く着色する」風習のことです。
幼少期に、海苔を歯につけて「お歯黒〜!」と遊んでいた方もいるのではないでしょうか?
ここからは、日本におけるお歯黒の歴史をご紹介いたします。
お歯黒は、奈良時代に北方民族によって朝鮮半島から伝えられたと言われています。
お歯黒の歴史は非常に長いことが分かりますね。
その後、平安時代になると貴族階級の間にお歯黒が広がります。
17〜18歳になると男女ともに歯を黒く染め、成人の証としていたようです。
室町時代には13〜14歳頃、戦国時代には8歳で染めていたんだとか。
戦国時代は、武将の娘を早く政略結婚させるためにお歯黒にしていたそうですよ。
そして、江戸時代になると貴族の風習が一般庶民にも浸透しはじめます。
お歯黒は、元禄時代に入ると全国各地に広がりました。
この頃に、男性がお歯黒をすることはなくなったのです。
庶民に広がったあとは、人生の転換期である婚約・結婚を迎えてはじめて染める風習となります。
そして、ついには既婚女性の象徴となったのです。
お歯黒と簡単に言っていますが、緻密なエナメル質である歯を黒く染めるのは非常に難しいことでした。
黒は何色にも染まらない色ですよね。
そのため、お歯黒をすることは「貞操」を意味し、既婚女性の誇りとなっていたそうですよ。
貞操というのは、 夫婦・恋人同士が相互に性的純潔を守ることを指します。
つまり、「あなたと一生添い遂げる」ということですね。
なんともロマンチックな風習です。
その一方で、外観的にも精神的にも「人妻」として制約するための強力な手段であったとも言われています。
お歯黒にはさまざまな意味合いが込められていたことが分かりますね。
さて、そんなお歯黒は明治政府の近代化政策の一つで禁止されていきました。
この頃には、チョンマゲや帯刀も禁止されていたそうです。
そして大正時代に入ると、お歯黒をしている女性はいなくなったのです…。
次回は、「お歯黒のむし歯予防効果」についてご紹介いたします!お楽しみに!
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