現代人の顎と不正咬合

現代人の顎と不正咬合

日本のエンタメ界を見ると、時代によって流行りの顔があると言われています。
例えば、今では塩顔と言われるようなあっさりした華奢な顔もよく好まれますが、昭和初期や大正時代には目鼻立ちがくっきりした俳優が好まれる傾向がありました。

 実は、これは日本人の歯や顎骨の変化に関係があるとも考えられています。

 例えば、昔の人は固いものをよく食べ、よく咀嚼していたので、咬筋が発達して、エラもしっかりとしていました。

一方で、現代人の食べ物は柔らかく、噛み込むための強い咀嚼力は必要となくなりました。
そのため下顎角部にある咬筋の働きは弱まり、貧弱化したのです。
その結果、横から見ると、下顎角は広くなって、顎先に向けて直線に近いラインとなり、下顎骨自体も華奢になりました。

ちなみに、縄文人と現代人の骨格を比べると、エラの大きさや角度は全く違うことが一目瞭然です。縄文人は、硬い木の実や狩猟で得た獣を食糧としていたので、強い咀嚼力が必要だったのです。

そして、単に咀嚼力自体の問題だけではなく、噛む回数も大きく変化しています。
確かに硬いものを食べようとすると、何回も咀嚼しなくてはなりません。
ある調査では、昭和初期には、1回の食事での咀嚼回数が1420回だったのに対し、現代では660回にまで減っていたそうです。

いかに現代人が噛まない食事をしているかが分かりますよね。

このような背景から、現代人の顎はどんどんと弱くなっています。

では、現代人の下顎が弱くなった結果、どのようなこと変化が起きているのでしょうか。

まず、歯並びが悪くなったと指摘されています。

進化の段階では、下顎が弱体化してくると、通常は歯のサイズも小さくなるのですが、現代人はこの進化のスピードに追いついておらず、歯と顎がアンバランスになっています。
その結果、歯並びが悪くなり、いわゆる噛み合わせの悪い不正咬合が多くなりました。

不正咬合は、虫歯や歯周病の原因となったり、顎関節症や顔や身体の歪みを引き起こす可能性もあります。

身体のためにしっかり硬いものをよく噛んで食べる習慣をつけ、気になる方は歯科医に相談することをおすすめします。

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